【税金】家内労働者の取り扱い

結論

家内労働者が存在する場合は、55万円を経費として計上することができる。

掲載日(更新日)

2022年3月16日

国税庁タックスアンサー

No.1810 家内労働者等の必要経費の特例

事業所得または雑所得の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算することになっています。しかし、家内労働者等の場合には、必要経費として55万円まで認められる特例があります。

(注)家内労働者等とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいいます。

家内労働者等の所得が事業所得または雑所得のどちらかの場合の控除額

実際にかかった経費の額が55万円未満のときであっても、所得金額の計算上必要経費が55万円まで認められます。

家内労働者等に事業所得および雑所得の両方の所得がある場合の控除額

事業所得および雑所得の実際にかかった経費の合計額が55万円未満のときは、上記「家内労働者等の所得が事業所得または雑所得のどちらかの場合の控除額」と同様必要経費が合計で55万円まで認められます。この場合には、55万円と実際にかかった経費の合計額との差額を、まず雑所得の実際にかかった経費に加えることになります。

家内労働者などによる所得のほか、給与の収入金額がある場合

(1)給与の収入金額が55万円以上あるときは、この特例は受けられません。

(2)給与の収入金額が55万円未満のときは、55万円からその給与に係る給与所得控除額を差し引いた残額と、事業所得や雑所得の実際にかかった経費とを比べて高い方がその事業所得や雑所得の必要経費になります。

このため、給与の収入金額から控除する給与所得控除額が55万円以上ある場合(つまり、給与の収入金額が55万円以上ある場合)には、この特例の適用はありません。

対象者または対象物

家内労働者等

注意事項

(1)特例の必要経費額は、事業所得や公的年金等以外の雑所得の収入金額が限度です。

(2)この特例に該当する所得しかない人で、その年の総収入金額が103万円以下の場合は、総所得金額が基礎控除額の48万円以下となりますので、本人に所得税は課されず、また、扶養者の所得税額の計算上、配偶者控除あるいは扶養控除の対象となります。

(注) 令和元年分までは、基礎控除額が38万円となり、家内労働者等の必要経費の特例における必要経費に算入する金額の最低保障額が65万円であることから、その年の総収入金額が103万円以下の場合は、総所得金額が基礎控除額の38万円以下となりますので、本人に所得税は課されず、また、扶養者の所得税額の計算上、配偶者控除あるいは扶養控除の対象となります。

なお、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。

(3)上記「家内労働者等に事業所得及び雑所得の両方の所得がある場合の控除額」、「家内労働者などによる所得のほか、給与の収入金額がある場合」に該当する方は、「家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例の適用を受ける場合の必要経費の額の計算書」を使用されると便利です。

根拠法令等

所得税法 第2条 (定義)

(前略)

33 同一生計配偶者 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するもの(第三十三号の四において「青色事業専従者等」という。)を除く。)のうち、合計所得金額が四十八万円以下である者をいう。
33の2 控除対象配偶者 同一生計配偶者のうち、合計所得金額が千万円以下である居住者の配偶者をいう。
33の3 老人控除対象配偶者 控除対象配偶者のうち、年齢七十歳以上の者をいう。
33の4 源泉控除対象配偶者 居住者(合計所得金額が九百万円以下であるものに限る。)の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く。)のうち、合計所得金額が九十五万円以下である者をいう。
(後略)

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所得税法 第83条 (配偶者控除

居住者が控除対象配偶者を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。
一 その居住者の第2条第1項第30号(定義)に規定する合計所得金額(以下この項、次条第1項及び第86条第1項(基礎控除)において「合計所得金額」という。)が900万円以下である場合 38万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、48万円)
二 その居住者の合計所得金額が900万円を超え950万円以下である場合 26万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、32万円)
三 その居住者の合計所得金額が950万円を超え1000万円以下である場合 13万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、16万円)
2 前項の規定による控除は、配偶者控除という。

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所得税法 第84条 (扶養控除)

居住者が控除対象扶養親族を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その控除対象扶養親族一人につき38万円(その者が特定扶養親族である場合には63万円とし、その者が老人扶養親族である場合には48万円とする。)を控除する。
2 前項の規定による控除は、扶養控除という。

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租税特別措置法 第27条 (家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例)

家内労働法(昭和45年法律第60号)第2条第2項に規定する家内労働者に該当する個人、外交員その他これらに類する者として政令で定める個人が事業所得又は雑所得を有する場合において、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額及び雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額の合計額が55万円(当該個人が給与所得を有する場合にあつては、55万円から所得税法第28条第2項に規定する給与所得控除額を控除した残額。以下この条において同じ。)に満たないときは、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、所得税法第37条第1項及び第2編第2章第2節第4款第1目から第5目までの規定にかかわらず、55万円を政令で定めるところにより事業所得に係る金額と雑所得に係る金額とに区分をした場合の当該区分をしたそれぞれの金額とする。この場合において、当該それぞれの金額は、その年分の事業所得に係る総収入金額又は雑所得に係る総収入金額(同法第35条第3項に規定する公的年金等に係るものを除く。)を限度とする。

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租税特別措置法施行令 第18条の2 (家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例)

法第27条に規定する政令で定める個人は、集金人、電力量計の検針人その他特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者とする。

2 法第27条に規定する個人(以下この項において「家内労働者等」という。)について同条の規定の適用がある場合には、第1号に掲げる家内労働者等にあつては同号に定める金額を事業所得又は雑所得に係る必要経費に算入する金額とし、第2号に掲げる家内労働者等にあつては同号イに掲げる金額を事業所得に係る必要経費に算入する金額とし、かつ、同号ロに掲げる金額を雑所得に係る必要経費に算入する金額とする。

一 事業所得又は雑所得のいずれかを有する家内労働者等 55万円(当該家内労働者等が給与所得を有する場合にあつては、55万円から所得税法第28条第2項に規定する給与所得控除額を控除した残額。次号において同じ。)

二 事業所得及び雑所得を有する家内労働者等

イ 55万円のうち、所得税法第37条第1項及び第2編第2章第2節第4款第1目から第5目までの規定による事業所得の必要経費に相当する金額(雑所得に係る総収入金額(同法第35条第3項に規定する公的年金等に係るものを除く。)がロに掲げる金額に満たない場合には、当該満たない部分に相当する金額を加算した金額)に達するまでの部分に相当する金額

ロ 55万円のうち、所得税法第37条第1項及び第2編第2章第2節第4款第1目から第5目までの規定による事業所得の必要経費に相当する金額に達するまでの部分以外の部分に相当する金額(家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例)
第18条の2 法第27条に規定する政令で定める個人は、集金人、電力量計の検針人その他特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者とする。
2 法第27条に規定する個人(以下この項において「家内労働者等」という。)について同条の規定の適用がある場合には、第1号に掲げる家内労働者等にあつては同号に定める金額を事業所得又は雑所得に係る必要経費に算入する金額とし、第2号に掲げる家内労働者等にあつては同号イに掲げる金額を事業所得に係る必要経費に算入する金額とし、かつ、同号ロに掲げる金額を雑所得に係る必要経費に算入する金額とする。
一 事業所得又は雑所得のいずれかを有する家内労働者等 55万円(当該家内労働者等が給与所得を有する場合にあつては、55万円から所得税法第28条第2項に規定する給与所得控除額を控除した残額。次号において同じ。)
二 事業所得及び雑所得を有する家内労働者等
イ 55万円のうち、所得税法第37条第1項及び第2編第2章第2節第4款第1目から第5目までの規定による事業所得の必要経費に相当する金額(雑所得に係る総収入金額(同法第35条第3項に規定する公的年金等に係るものを除く。)がロに掲げる金額に満たない場合には、当該満たない部分に相当する金額を加算した金額)に達するまでの部分に相当する金額
ロ 55万円のうち、所得税法第37条第1項及び第2編第2章第2節第4款第1目から第5目までの規定による事業所得の必要経費に相当する金額に達するまでの部分以外の部分に相当する金額

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まとめ

家内労働者という用語、見慣れないですね。いわゆる内職ですね。