【税金】パート収入における所得税

結論

103万円以下は、パート本人の所得税は発生しません。
配偶者控除配偶者特別控除は、似ているようで意味が違うので注意が必要です。

掲載日(更新日)

2022年3月13日

国税庁タックスアンサー

No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか

配偶者の収入がパート収入だけの場合、所得税に関して次の3つのことが問題になります。

配偶者本人の所得税の問題

パートにより得る収入は、通常給与所得となります。給与所得の金額は、年収から給与所得控除額を差し引いた残額です。給与所得控除額は最低55万円ですから、パートの収入金額が103万円以下(給与所得控除額55万円に所得税基礎控除額48万円を加えた金額)で、ほかに所得がなければ所得税はかかりません。

配偶者控除の問題

配偶者の合計所得金額が48万円以下であれば、納税者本人は、所得税配偶者控除を受けることができます。つまり、配偶者の収入がパート収入だけの場合、その収入が103万円以下であれば給与所得控除額の55万円を差し引くと所得金額は48万円以下となり、配偶者控除が受けられるということになります。

なお、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。

配偶者特別控除の問題

所得税配偶者特別控除が受けられる所得金額についての要件は次の2つです。

(1) 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であること。

(注)控除を受ける納税者本人の合計所得金額が900万円以下の場合、900万円超950万円以下の場合、950万円超1,000万円以下の場合で、配偶者特別控除の最高額が異なります。

(2) 配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下であること。

このことから、(1)の要件に該当する場合には、配偶者のパート収入が103万円超201万6千円未満で、ほかに所得がなければ、配偶者特別控除を受けることができます。

配偶者特別控除の額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額および配偶者の所得金額により異なり、納税者本人の合計所得金額や配偶者の所得が増えるに従い、段階的に少なくなっていきます。

根拠法令等

所得税法 第2条(定義)

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(中略)
三十三 同一生計配偶者 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するもの(第三十三号の四において「青色事業専従者等」という。)を除く。)のうち、合計所得金額が四十八万円以下である者をいう。
三十三の二 控除対象配偶者 同一生計配偶者のうち、合計所得金額が千万円以下である居住者の配偶者をいう。
三十三の三 老人控除対象配偶者 控除対象配偶者のうち、年齢七十歳以上の者をいう。
三十三の四 源泉控除対象配偶者 居住者(合計所得金額が九百万円以下であるものに限る。)の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く。)のうち、合計所得金額が九十五万円以下である者をいう。
(後略)

所得税法 第28条(給与所得)

給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。
2 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。
3 前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 前項に規定する収入金額が180万円以下である場合 当該収入金額の100分の40に相当する金額から10万円を控除した残額(当該残額が55万円に満たない場合には、55万円)
二 前項に規定する収入金額が180万円を超え360万円以下である場合 62万円と当該収入金額から180万円を控除した金額の100分の30に相当する金額との合計額
三 前項に規定する収入金額が360万円を超え660万円以下である場合 116万円と当該収入金額から360万円を控除した金額の100分の20に相当する金額との合計額
四 前項に規定する収入金額が660万円を超え850万円以下である場合 176万円と当該収入金額から660万円を控除した金額の100分の10に相当する金額との合計額
五 前項に規定する収入金額が850万円を超える場合 195万円
4 その年中の給与等の収入金額が660万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前2項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。

所得税法 第83条(配偶者控除

居住者が控除対象配偶者を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。

一 その居住者の第2条第1項第30号(定義)に規定する合計所得金額(以下この項、次条第一項及び第86条第1項(基礎控除)において「合計所得金額」という。)が900万円以下である場合 38万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、48万円)

二 その居住者の合計所得金額が900万円を超え950万円以下である場合 26万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、32万円)

三 その居住者の合計所得金額が950万円を超え1000万円以下である場合 13万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、16万円)

2 前項の規定による控除は、配偶者控除という。

所得税法 第83条の2(配偶者特別控除

居住者が生計を一にする配偶者(第2条第1項第33号(定義)に規定する青色事業専従者等を除くものとし、合計所得金額が133万円以下であるものに限る。)で控除対象配偶者に該当しないもの(合計所得金額が1000万円以下である当該居住者の配偶者に限る。)を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。

一 その居住者の合計所得金額が900万円以下である場合 その居住者の配偶者の次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める金額

イ 合計所得金額が95万円以下である配偶者 38万円

ロ 合計所得金額が95万円を超え130万円以下である配偶者 38万円からその配偶者の合計所得金額のうち93万0001円を超える部分の金額(当該超える部分の金額が5万円の整数倍の金額から3万円を控除した金額でないときは、5万円の整数倍の金額から3万円を控除した金額で当該超える部分の金額に満たないもののうち最も多い金額とする。)を控除した金額

ハ 合計所得金額が130万円を超える配偶者 3万円

二 その居住者の合計所得金額が900万円を超え950万円以下である場合 その居住者の配偶者の前号イからハまでに掲げる区分に応じそれぞれ同号イからハまでに定める金額の3分の2に相当する金額(当該金額に1万円未満の端数がある場合には、これを切り上げた金額)

三 その居住者の合計所得金額が950万円を超え1000万円以下である場合 その居住者の配偶者の第1号イからハまでに掲げる区分に応じそれぞれ同号イからハまでに定める金額の3分の1に相当する金額(当該金額に1万円未満の端数がある場合には、これを切り上げた金額)

2 前項の規定は、同項に規定する生計を一にする配偶者が、次に掲げる場合に該当するときは、適用しない。

一 当該配偶者が前項に規定する居住者として同項の規定の適用を受けている場合

二 当該配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として第185条第1項第1号若しくは第2号(賞与以外の給与等に係る徴収税額)又は第186条第1項第1号若しくは第2項第1号(賞与に係る徴収税額)の規定の適用を受けている場合(当該配偶者が、その年分の所得税につき、第190条(年末調整)の規定の適用を受けた者である場合又は確定申告書の提出をし、若しくは決定を受けた者である場合を除く。)

三 当該配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として第203条の3第1号から第3号まで(徴収税額)の規定の適用を受けている場合(当該配偶者がその年分の所得税につき確定申告書の提出をし、又は決定を受けた者である場合を除く。)

3 第1項の規定による控除は、配偶者特別控除という。

所得税法 第86条(基礎控除

合計所得金額が2500万円以下である居住者については、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。

一 その居住者の合計所得金額が2400万円以下である場合 48万円

二 その居住者の合計所得金額が2400万円を超え2450万円以下である場合 32万円

三 その居住者の合計所得金額が2450万円を超え2500万円以下である場合 16万円

2 前項の規定による控除は、基礎控除という。

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まとめ

法改正が多い所得控除です。今後も変わると思います。